以上が大前流の究極的な税制改革だが、そこに至る中間段階でも、税の不平等を解消するアイデアはいくつかある。
その一つ、一番手前にある方法として政府に提案しているのが、「サラリーマンの副業推奨」に伴う青色申告制度である。これは緊急経済対策としても、公共工事などよりもはるかに効果の大きな政策である。
すでに家電メーカーでは、減産に伴い社員の副業を容認化する動きが出てきており、東芝会長で日本商工会議所の岡村正会頭もこれを認めた。これまで副業禁止の就業規則で縛り付けて会社人間にしておいて、今さら副業で稼いでいいよとはふざけた話だが、副業の論議自体はもっとなされていい。
「寄らば大樹で会社の世話になろうと思うな。どこの会社に行っても通用するように、夜と土日は副業しろ」という経営者がもっと出てくるべきだし、イタリアのように「仕事は2つ持って当たり前」という風潮になるべきだと私は思う。たとえば、夫婦それぞれが仕事を持ちながら、プライベートで起業してもいい。
そして副業で稼いだお金は、全部きちんと「確定(青色)申告」させる。自宅の庭先に書斎兼事務所を建て増ししたら、その経費(減価償却)も認めるし、机もパソコンもソフトもインターネットの敷設費用も、全部経費で落とせるようにする。近所のアパートを事務所代わりに借りたら、その賃料も認めるし、クルマも減価償却できるようにする。
つまり、副業にかかった費用やスキル、資格を取得するための自己投資コストは、すべて経費に申告させて、普通のサラリーマンとして払った所得税から還付できるようにするのである。