人生は長い。サラリーマン人生だけで40年近くある。もし情報不足で不公平な業界を選んだとしても、死に物狂いで自分に投資すれば、職種や業種の壁を乗り越えられる。30歳前後なら乗り換えは十分に可能だし、1つの会社で20年以上経過したなら、その世界に留まり、とび抜けた存在となるために自己投資をしたほうがいい。すぐに結果が出なくとも、常に高みを目指して頂いただきを乗り越える努力を続ければ、必ず強くなれる。他人を羨んだり妬んだり、肩叩きに怯える必要など、なくなるはずだ。
今、日本で一番不足しているのは、グローバル人材である。世界中に広がった組織の中で、縦横に活躍できる力をつけておけば、引く手数多である。この場合には業種の壁もそれほど大きくないし、経験がものを言う世界であるから転職で飛躍する機会も多い。
サラリーマンが豊かになれない日本のカラクリとして、「税の不平等」の問題もある。各種費用が自動的に差し引かれる源泉徴収の天引きシステムや、俗に「541(トーゴーサンピン。きちんと納税されている徴収割合が、サラリーマンだと丸ごと全部の10割で、自営業者なら5割、農家3割、政治家1割という意味)」といわれる格差など、日本の税体系の中では、サラリーマンだけが著しく虐げられた存在となっている。
そもそも日本は、所得税や法人税の税率が世界一高い。北欧諸国のように貯金ゼロでも老後の心配をしないでいい超福祉国家ならわかるが、日本政府は年金をきちんと支払う約束すら守れないでいる。
累進課税にしても、要は収入の多い人からたくさんむしり取ろうという話。どんなに一生懸命働いて給料が増えても、手取り自体はほとんど変わらないのだから、これほどインセンティブの働かない国はない。
ロシアのプーチン政権や、かつてのアメリカ・レーガン政権時代には、「フラットタックス」を導入したり累進制を緩和した。税率を下げても国の税収は増えた。インドネシアでは「刀狩り」のように過去を問わないから今年から正直に申告しろ、とムルヤニ財務大臣が施策を行った。主として華僑のものと思われるが、地下に潜っていた金がどっと出てきて、税収は50%増。「税率を下げると税収が増える」「過去を問わない刀狩り」など、世界の事例から納税者の心理を日本ももっと勉強すべきだろう。