【田原】これもオーダーメードではなく、レディメードですか。

「プラスワンリビングハウス」の価格は、なんと1500万円。

【岡崎】そうです、たとえばジャグジーってありますよね。いま日本で売れているのは年間200~300個で、ほとんどはラブホテルが買っていきます。数が出ないので価格が高いのですが、すべての家に装備すると、一気に数が増えるので安くなります。安いものを安く売るのではなく、いいものをいろいろな工夫で安く売るという発想です。

【田原】安かろう悪かろうではないと。

【岡崎】僕は「住宅業界のiPhone」をつくりたいんです。iPhoneに使われているCPUやガラスをオーダーして一品ずつつくったら、きっと何十万円もするはずです。だけどアップルは、「これが最高です」という仕様を決めて、何千万台規模でつくることでコストを下げ、多くの人が手にできるようにした。住宅業界でも同じことができるはずだと思って挑戦しているところです。

カルロス・ゴーンに憧れ「プロ経営者になりたい!」

【田原】岡崎さんは親会社に入って、1年目にいきなり最優秀新人賞を取ったそうですね。何か秘訣はあるの?

1999年、東邦レオに入社。最優秀新人賞を受賞する。

【岡崎】コツではないですが、とにかくハングリーでした。家がそんなに裕福ではなかったので、ビジネスで成功して早く親に家を建ててやりたいという思いがものすごく強いんです。僕が東京の営業所に配属されたとき、家財道具を揃える手伝いのためにおふくろも一緒に上京してきたことがありました。あとで聞いたら、僕は毎晩、「やってやる」「早く一人前になってやる」と、寝言を言っていたとか(笑)。

【田原】そんなに頑張って最優秀新人賞を取ったのに、2年目に辞めると言いだした。どうして?

【岡崎】目標を失ったのです、ある程度できるようになり、これからの自分のキャリアはどうなるのかと思ってまわりを見ると、先輩たちは僕と同じ仕事をしていました。1年目と同じことを2年目もやって、3年目、4年目も同じ。それを見て、これはあかんと。