[5]誰も遺産の内容を把握していない
――手当てをしないと資産を見逃す可能性も

相続が発生してから、預貯金がどこの銀行にどれだけあるか、不動産はあるのか、借金はいくらあるのか、などを調べるのは困難だ。生前に親から資産の中身を聞き出すことはなかなか難しいものだが、機会を見て親と話をして、財産目録を作成してもらうのが賢明だ。

[6]先妻との間に子がいる
――先妻の子の要求から現在の家族を守るには遺言が必須

離婚経験のある人は要注意。先妻との間の子どもは相続人になる。多くの場合、先妻の子と後妻の子の仲は良好ではなく、会ったことさえない場合が大半なので、相続でもめる可能性大。遺言で母親(後妻)に自宅を残したり、特定の子どもにより多くを相続させることが可能だ。

[7]再婚の際の連れ子
――連れ子に相続権なし。養子縁組か遺言で遺贈

父親が再婚し、再婚相手に連れ子がいる場合、父親が死んで相続が発生しても、連れ子は法的な親子ではないので、相続権はない。もし、自分が連れ子の立場であれば、生前に養子縁組をしてもらうといい。または遺言に遺贈する旨を明記すれば、連れ子に財産を受け取らせることが可能になる。

[8]相続人が多い場合
――遺言+遺言執行者の事前指定で円満相続

子どもが多い、代襲相続が発生する、父親が養子縁組を結んでいる、など相続人が多い場合は、遺産分割の話し合いも、それだけ困難になる。相続人同士の住居地が離れていたり、疎遠である場合も多い。遺言で遺産分割方法を指定し、併せて遺言執行者も決めればスムーズに。

[9]家業や農家を引き継ぐ予定
――遺言があれば、遺産分割協議が不要に

親が自営業や農家で、子どもが事業を引き継ぐ場合、事業用資産をまとめて1人が相続することになる。遺言があれば、後継者が事業用資産を中心に、他の相続人より多く相続することが可能になる。事業に貢献した後継者の寄与分を考慮し、相続分を多く指定することも。

東京弁護士法律事務所 代表パートナー、弁護士・税理士 長谷川裕雅
早稲田大学卒業後、朝日新聞記者に。その後、弁護士に転身。著書『磯野家の相続』(すばる舎)は、相続関連の図書としては異例の大ヒット。テレビ、雑誌などの出演多数。
(編集・構成=向山勇 撮影=小倉和徳)
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