「病は気から」。心を健やかに保てば、自己治癒力が上がり、病院に行く頻度も減る。(写真=UYORI/PIXTA)

「病は気から」と言う。心の持ちようで、脳の自己治癒に関わる回路が活性化する。その結果、免疫系の働きが高まり、病気にかかりにくくなり、がんの発生の確率も下がる。そんな健康への道筋が、科学的研究から見えてきているのである。

ここで押さえておくべき点は、「心」を生み出しているのはすなわち脳であり、心の持ちようの背後には、脳内の活動があるということである。どのような気持ちで日々を送るかは、そのまま脳の物質的な活動へとつながり、健康にも反映される。だとしたら、健康につながるような心の習慣を持ちたいものである。

自己治癒能力を高めるうえで、最大の敵がストレス。自分がコントロールできないことまでなんとかしようとしてイライラすることがストレスのもとになる。

自分ができることについてはベストを尽くすが、結果は運に任せるくらいの余裕のある態度がよいのである。

近年、チクセントミハイやセリグマンといった米国の研究者を中心として、前向きに生きるための心理的条件や、性格の類型を研究する「ポジティブ心理学」という新しい分野が立ち上がりつつある。

忙しくても、「フロー」と呼ばれる、時間が経つのを忘れるような集中状態に入ることができれば、仕事自体が喜びとなり、報酬となる。そのような心がけを持つ人は、脳活動も調整され、自己治癒能力を通して健康にもなる。

たかが心の持ちようと言うなかれ。心は脳と等価であり、脳は体と結びついている。ぜひ、健康になる心の習慣を身につけたい。

(写真=UYORI/PIXTA)
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