絵本『1619プロジェクト 水の上で生まれて』

「1619プロジェクト」からは絵本版の『1619プロジェクト 水の上で生まれて』も出版されている。絵本版は、学校で出された「自分のルーツの国の旗を描きましょう」という課題に、アフリカ系アメリカ人の少女が途方に暮れるシーンから始まる。

『The 1619 Project: Born on the Water』(Kokila, 2021)著:Nikole Hannah-Jones, Renée Watson 画:Nikkolas Smith
『The 1619 Project: Born on the Water』(Kokila, 2021)著:Nikole Hannah-Jones, Renée Watson 画:Nikkolas Smith

移民大国のアメリカでは、多くの子どもが祖国について親から多かれ少なかれ教わっている。親や祖父母が移民であれば、アメリカで生まれた二世の子どももルーツの国の言葉を話したり、少なくとも理解したりすることが多く、祖国の文化が色濃く伝えられている。夏休みや冬休みに祖国に里帰りする子どもも少なからずいる。しかし奴隷の末裔である少女は祖先がアフリカのどの国から来たのかを知るよしもなかった。

そんな孫娘に祖母はアフリカの物語を語り聞かせる。豊かな文化と歓喜に満ち溢れた生活。突如やってきた何者かによって誘拐され、家族と切り離され、行き先も分からない奴隷船に押し込められた恐怖。飢餓や病、さらには自ら海に身を投じて多くの人々が亡くなったこと。生き残った者はアメリカで奴隷として過酷な人生を送ったこと。それでも生きる決意をし、愛をつむぎ、子どもを産み、未来に望みを託したこと。この壮大な歴史が劇的なイラストとともに進行する。