「協議に基づく買収提案」を撤回する意味

ここで確認しておくべきは、ACTは「協議に基づく買収提案」を撤回する、と言っているのであって、買収を撤回すると言っているわけではない。敵対的買収に関して問われ、考えていないと答えているが、それは今すぐにはしない、という意味であろう。当初から言っていたように、敵対的買収をするための資金調達の準備はできていた、のならば、今でもその選択肢は手元にあるだろう。

では、何のために協議をしていたのであろうか。それは、提案後のセブンの動きを振り返って、何が変わったのか、を考えれば見えてくる。①不採算部門である非コンビニ部門をヨークHDとして切り離した、②買収防衛に向けて様々な手法を実施しようとしたがコンビニ集中強化という現行策に落ち着いた、③米国コンビニ事業のIPOを実施する、といったことが前とは異なる状況だといえるだろう。

協議の期間とは、セブンが可能な限りの買収防衛策を検討してたどり着いた企業価値が今の時価総額5兆円ちょっと(ピークで6兆円ほど)であること、つまりはACTが資金調達可能額としている7~8兆円の範囲内である、ということを相互で確認する結果に至るための時間だった、と解釈することもできる。