佐野を焚きつける怪しい武士

佐野は以前、田沼意次(渡辺謙)のもとに佐野家の系図を持参し(佐野家は元来、田沼家の主家筋だった)、それを好きに書き換えていいので、自分を引き立ててほしいと頼んでいた。その案件が放置されていたため、意知は佐野に将軍家治(眞島秀和)の鷹狩の供をする機会をあたえた。

だが、鷹狩の現場では、佐野は雁を射たと主張したが林の中を探しても見つからず、将軍の目に留まるどころか恥をかいた。すると、佐野の屋敷を「事情により名は控え」るという武士が訪れ、佐野の矢で射られた雁を持参し、こう伝えたのだ。「そこで見てしまったのでございます。田沼(意知)様がこれを見つけられ、隠されるところを」。

その後、佐野家の家宝の桜が咲かないと、佐野が父から叱責されているところに、同じ男が訪れた。そして、かつて佐野が渡した系図を田沼が「無きものにした」うえ、佐野が田沼に贈呈した桜を、田沼は勝手に神社に寄進し、それが「田沼の桜」として愛でられている、と伝えた。