スマホの使いすぎで頭が悪くなっている
頭のいい人、知性が高い人は何が違うのか。私の答えは「読解力」です。読解力というと、「文章を読み解くこと」だと考える人も多いでしょう。しかし、広い意味での読解力とは、文章に限らず、会話やその場の雰囲気を含めて、「相手が伝えようとしている内容を正確に理解し、物事の本質を瞬時に捉えることができる力」だと考えます。
「伝える力」や「話し方」など、コミュニケーションに関する能力が重視される一方で、その前提にある読解力の大切さは意外と見過ごされがちです。そしていま、多くの人が読解力低下の危機に瀕しています。
現代人の読解力が落ちやすい要因として、①読書量の低下、②会話量の低下、③スマホの受動的使用→思考停止、④認知機能の低下、⑤SNSの使用増加、⑥世代間コミュニケーションの減少、⑦アウトプット不足、の7つがあると考えています。
なかでも影響が大きいのはスマホです。スマホには、あなたが興味を持っていることに合わせた「おすすめの情報」が次から次へと送られてきます。その結果、「考えなくていい」状態が生まれてしまいます。
今では、チャットGPTなどの生成AIに頼る人も増えています。便利なツールはメリットが大きい半面、人間の思考力低下につながります。
加えて、スマホなどから入ってくる情報量が多すぎるために、自分の頭ひとつではすべてを処理しきれない状態に陥っています。SNSには誤った情報が氾濫していますが、その情報が正しいかどうか読み解く前に拡散する人も後を絶ちません。立ち止まって考えることのないまま、フェイクニュースや誤った情報に騙されてしまうリスクが高まっています。
また、思考は言葉で行います。思考する機会が減ると語彙力が落ちますし、語彙力が低下すれば、読み解く力も落ちていきます。すべてが連鎖的に起こり、負のスパイラルに入っているのです。
もう一つ、私は脳の専門家ではありませんが、いわゆる「スマホ脳」と呼ばれる現象も無視できません。スマホをだらだらと見ていると脳疲労が起きて前頭前野が疲れます。その結果、集中力や認知機能が落ちてしまうといわれているのです。その状態で何かを読み解こうとしても、十分に思考を巡らせることはできません。
「わかったつもり」は最も危険な状態
読書量の減少も読解力の低下に影響しています。文化庁の「国語に関する世論調査」(令和5年度)によると、1カ月の間に一冊も本を読まない人が6割以上にのぼりました。本を読まなくなると、新しい言葉と出合う機会が圧倒的に減ってしまいますから、語彙を豊かにすることができません。
また、本の中の言葉は論理的に紡がれていて、しっかりとした文脈が存在します。読書量が減ると、自分の頭で考えて文脈をとらえる機会も失います。その結果、切り取られた短いニュースや見出しだけを見て「わかったつもり」になってしまうのです。
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