そして、脚の筋肉を鍛えるために通勤時間を利用し、「毎日自転車で通勤する」という仮説を立てたら、今度は「自転車通勤族の100人に筋力測定のお願いをして、1カ月間にどれくらい筋力がアップするのかを調査する」といった具体的なファクトに基づいた検証方法が浮かび上がってくる。実際に検証を行い、もしも筋力アップにはあまりつながっていないという結果が得られたのなら、その仮説は間違っていたことになる。

そこで、さらにファクトを積み上げながら違う仮説の検証に取りかかっていくのだが、イシュー・アナリシスで導き出したすべての仮説が間違いということもありえる。そうした場合は、なぜ間違えたのか、その意味合いを考えながら振り出しのイシューの再設定からやり直す。

「問題解決のプロジェクトの最初の段階ではよくあること。執念深く何度でも繰り返していくことで、クライアントに対してインパクトのある提案ができるようになる」と田中氏はいう。

この段階で特に大切なのは、仮説を考えたり、仮説が間違った意味合いを考えたりする際に、複数の視点から行うことだ。それゆえ何人かが集まって行うミーティングは重要な場になる。マッキンゼーでは「どんどん脳みそを借りろ」という合言葉があって、チームの枠を超えてさまざまな意見やアドバイスを求めることも奨励されているくらいなのだ。

「マッキンゼーでの1つのプロジェクトの期間は平均で約3カ月。その短い期間のなかで、まず何から手をつけていいのかもわからないような状況から統合的な解決策を導き出していくためには、大きな問題を小さな問題に切り分けることで考えやすくしていくイシュー・アナリシスのようなロジカルな手法がきわめて有効だ」と高島氏は語る。

それだけに、やはり振り出しのイシューにいかに的確なものを据えられるかがポイントになる。そして、この点において「仮説思考」を積極的に活用しながら取り組んでいるのがBCGなのだ。