※本稿は、森翔吾『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
住む条件は「健康的な生活ができる場所」か
僕は「自分探しの旅」をしながら、それぞれの国に1カ月ほどステイして、自分が住みたい場所を探してきた。旅を始めた頃は、歴史的な建造物や有名な観光地に感動したが、ヨーロッパなどはどの建造物も街並みも同じように見え、次第に興味が湧かなくなってしまった。
ただし、どんな国を旅していても、新鮮な野菜や肉、魚の市場を見つけたときは、俄然興味が湧いてくる。ワクワクしながら味を確かめ、値段を調べ、「この街の人は、何をどんな調理方法で食べ、どんな健康法を実践しているのだろう、どんな暮らしをしているのだろう」と聞いてみたくなる。
そして、「自分がここに住むとしたら」と思いを巡らしてみる。旅をするうちに、少しずつ自分が求めていることがわかってきた。それは……「健康的な生活ができる場所かどうか」。
もっと具体的に言うなら、
・オーガニックの野菜、果物、肉が手に入る環境があること。
・健康志向の人たちを観察して、最新の食生活と健康の知識を学べること。
・自然が多い場所であること。
ニューヨークが条件に最も近かった
この条件に最も近い場所が、ニューヨークだった。高級スーパーマーケットには、オーガニックの製品がズラリと並んでいるし、健康の話を夢中になってしてくれるマッチョたちもたくさんいる。そして、大都会でありながら、セントラルパークのような自然もある。
そんなニューヨークが大好きで、数えきれないほどステイしてきたのに、アメリカのライバル?「ロシア」には、行ったことがなかった。日本人がロシアに行くにはビザが必要だし、ロシアが悪役になりがちなアメリカ映画の影響で、あまりいいイメージはなかったのかもしれない。
ロシアを初めて訪れたのは2018年冬。ベトナムで出会ったロシア人の彼女と付き合い始め、1年が過ぎた頃だった。久しぶりにロシアに帰る彼女が、「一緒に来てみない?」と誘ってくれたのがきっかけだ。
ロシアのイメージといえば、
・寒くて暗い。
・みんなウォッカを飲んでいて、アルコール依存者が多い。
・KGBがあるので、スパイのにおいがする。
実際にロシアに来てみると、確かに寒いが、それ以外は、あまりにもイメージと違っていて驚いた。

