出費を抑えつつ、快適に暮らすにはどうしたらいいか。世界中を旅するYouTuberの森翔吾さんは「東京で家族4人が生活する場合、年間の生活費は約600万円かかる。しかしロシアの田舎町では月収10~15万円の収入があれば、充分暮らしていける」という――。

※本稿は、森翔吾『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

住む条件は「健康的な生活ができる場所」か

僕は「自分探しの旅」をしながら、それぞれの国に1カ月ほどステイして、自分が住みたい場所を探してきた。旅を始めた頃は、歴史的な建造物や有名な観光地に感動したが、ヨーロッパなどはどの建造物も街並みも同じように見え、次第に興味が湧かなくなってしまった。

ただし、どんな国を旅していても、新鮮な野菜や肉、魚の市場を見つけたときは、俄然興味が湧いてくる。ワクワクしながら味を確かめ、値段を調べ、「この街の人は、何をどんな調理方法で食べ、どんな健康法を実践しているのだろう、どんな暮らしをしているのだろう」と聞いてみたくなる。

そして、「自分がここに住むとしたら」と思いを巡らしてみる。旅をするうちに、少しずつ自分が求めていることがわかってきた。それは……「健康的な生活ができる場所かどうか」

もっと具体的に言うなら、
・オーガニックの野菜、果物、肉が手に入る環境があること。
・健康志向の人たちを観察して、最新の食生活と健康の知識を学べること。
・自然が多い場所であること。

新鮮な有機果野菜
写真=iStock.com/Thicha Satapitanon
※写真はイメージです

ニューヨークが条件に最も近かった

この条件に最も近い場所が、ニューヨークだった。高級スーパーマーケットには、オーガニックの製品がズラリと並んでいるし、健康の話を夢中になってしてくれるマッチョたちもたくさんいる。そして、大都会でありながら、セントラルパークのような自然もある。

そんなニューヨークが大好きで、数えきれないほどステイしてきたのに、アメリカのライバル?「ロシア」には、行ったことがなかった。日本人がロシアに行くにはビザが必要だし、ロシアが悪役になりがちなアメリカ映画の影響で、あまりいいイメージはなかったのかもしれない。

ロシアを初めて訪れたのは2018年冬。ベトナムで出会ったロシア人の彼女と付き合い始め、1年が過ぎた頃だった。久しぶりにロシアに帰る彼女が、「一緒に来てみない?」と誘ってくれたのがきっかけだ。

ロシアのイメージといえば、
・寒くて暗い。
・みんなウォッカを飲んでいて、アルコール依存者が多い。
・KGBがあるので、スパイのにおいがする。

実際にロシアに来てみると、確かに寒いが、それ以外は、あまりにもイメージと違っていて驚いた。