綱渡りの状態にある米国の財政
その米国の財政は、その実、綱渡りの状況にある。ベッセント財務長官は5月9日に米国連邦議会指導部に充てた書簡の中で、連邦政府の債務残高が8月にも法定上限を突破する可能性が高いと明らかにした。つまり、1月に議会が設定した連邦債務の上限は36兆1000億ドルだったが、現在の債務残高は36兆2000億ドルとそれを上回っている(図表1)。
ゆえに、7月にも債務上限を引き上げるなり、債務上限の在り方そのものを変えなければ、米国は政府閉鎖に追い込まれる。このタイミングまでに関税の協議がまとまらなければ、リスクオフモードを強めた投資家が米国債に売りを浴びせる。その後で債務上限を引き上げても、米国債の買い手など見つかるわけがない。
それこそ、米国は自己実現的な財政・金融危機に陥ることになる。この問題を抱えていなければ、米国は中国とのディールに対してもっと強いスタンスで臨んだのではないだろうか。結局、自己実現的な財政・金融危機を回避すべく、ベッセント財務長官らは腐心し、中国との間で、冒頭で述べた合意を取り付けたのだと推察される。
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