支出を抑えるために、日々の生活費の節約以外に効果的な方法はあるのか。フルタイムの会社員として働きながら、資産2億円を実現した斗比主閲子さんは「長期的に資産形成をしたければ、長期的に支出を抑えられなければ意味がありません」という――。

※本稿は、斗比主閲子『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

支出管理は「金額が大きいものから把握する」

皆さん、支出を抑えようとしたら何をしますか? 恐らく、多くの人が日々の生活費を節約することから始めると思います。電気を小まめに消す、家族のお小遣いを減らす、外食を控えるなど、要所要所で使うお金を減らそうとするはず。しかし、なかなか上手く行きません。何しろ、節約というのは意識してしまうとストレスを感じ、続けにくくなってしまうからです。

照明のスイッチを押す女性
写真=iStock.com/demaerre
※写真はイメージです

長期的に資産形成をしたければ、長期的に支出を抑えられなければ意味がありません。一時の思い付きで数カ月頑張って節約するのではなく、年単位で無理なく続ける必要があります。長期的に支出削減を成功させるコツは、大きく次の二つです。

・金額が大きい支出を減らす
・毎月一定額、確実にかかる支出を減らす

一つ目は、細かな支出に着目するのではなく、大きな支出を減らすことを狙うというものです。

家計簿アプリを利用してお金の「見える化」をすると、何にたくさんお金を払っているか分かってきます。家族構成や生活習慣によって変わるものの、一般的には、食費、住居費、交通費、保険費、教育費、水道光熱費、通信費が大きいでしょうか。順番に、10〜20%削減可能かを一つ一つ検討していきましょう(なお、図表1のグラフで住居費がかなり安くなっているのは、すでに住宅ローンを完済した持ち家に住んでいるケースも含まれているからです)。

【図表1】1世帯当たり、1カ月間の用途別支出金額
イラスト・図表=水谷さるころ

金額の大きいものから削減を検討するのは、インパクトが大きいからです。

例えば、被服費として毎月1万円程度を使っているとして、10%抑えられても、節約額は毎月1000円程度です。それよりも、食費や住居費を根本的に見直すことができれば、1カ月の支出を1万〜2万円減らすことができます。

支出を減らす目的は、できるだけ多く貯蓄することにあります。小さな支出を減らすことに力を注いでも、結果的に得られるお金は限定的です。大きな支出をどうやって減らすかを考えた方が、効率が良いのです

なお、その際に聖域は設けないようにしましょう。

私の友人で外車にしか乗らないという人がいます。昔からの憧れということで、それ自体は悪いことではないのですが、購入単価は国産車の倍以上で、燃費も悪く、年間の維持費は70万〜80万円かかるそうです。もし、外車から国産の軽自動車に乗り換えることができれば、購入単価は4分の1程度、燃費や自動車税等を加味すると、年間の維持費も40万円程度になるはずです。

あるいは、どうしても譲れなければ、車以外の住居費や食費をどれくらい抑えられるか、検討してみましょう。