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(18)稼ぐ人の7割が共有スペースにも気を配る

あなたが取引先の事務所や店舗を訪れる機会があり、廊下のキャンペーンポスターが古いものだったり、共有スペースの荷物が崩れかけていたりしたらどんな印象を受けるだろうか。会社や仕事に対するあきらめを無意識のうちに感じ取るはずだ。もし感じなければ、あなた自身も重症である。

稼ぐ人の68%は共有スペースの汚れや乱れを見つけて直している(18)。モノの変化に気づく人はコトの変化にも敏感になる。気づける社員とは、思考力のある提案型の社員なのだ。そんな社員が多くて整理ができている職場では、コストカットを含めた問題発見と解決が進む。

以前、会社に行くのが嫌になるぐらい忙しいと嘆いていた女性がいた。デスク周りも共有スペースも、整理整頓とはほど遠い状態。調査したところ、彼女は1日に60分間も探し物に費やしていることがわかった。

聞けば、「目が回るほど忙しいけれど、無駄な仕事もやっている気がする」という。片づけを実践してもらい、探し物の時間を10分間にまで縮めることに成功すると、常に仕事に追われる状況を脱した。仕事に対する意欲も戻ってきたという嬉しい感想を述べてくれた。

その職場は部門長が決断力に富んでいた。彼女の変化を目の当たりにして、他の社員にも改善を指示したのだ。

片づけを実践した社員からは「片づける時間がないのではなくて、片づけないから時間がないのだとわかった」という感想を得た。部門長の決断次第では、片づけを職場の業務効率向上の契機にすることができるのだ。

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(19)業績が上がっている会社は管理職の机がキレイ

職場という公共のスペースでは、「自分は無駄が好きなんだ」というわがままは許されない。片づけはよくも悪くも伝染するからだ。職場の「基準」は部門長のデスク周りである。「部長の机がグチャグチャなのだから自分も大丈夫」という暗黙の了解が蔓延する事態は避けねばならない。調査でも、業績が上がっている会社のほうが、部門長の机がきれいであることがわかった(19)。管理職は自分が整理整頓できていないことが、職場に大きなダメージを与えていることを認識するべきだ。

逆に、片づけによって職場のメンバーに時間と気持ちの余裕が生まれれば、顧客への対応も改善する。当然、評価も上がって価値の高い情報を得られるようになる。片づけはコストカットだけではなく、売り上げ増にもつながるだろう。