花魁になれない娘は先輩女郎に付き、17歳から客を取る

17歳頃「座敷持」(花魁)(張見世に出る)

振袖新造も17歳くらいになると、世話になった花魁から独立して、着物の袖も振袖から留袖に替わり、いよいよ一人前の花魁となります。

座敷持というのは、日常過ごす自分の部屋と、客をもてなす部屋を持つ女郎のことで、だいたい二間続きの部屋になっています。

座敷持には禿が一人付く場合もありますが、だいたいは付きません。

17歳頃「部屋持」(花魁)(張り見世に出る)

部屋持は、座敷持とほとんど一緒ですが、日常を過ごす部屋に客を迎い入れて接待するので、階級としては一段下がります。

「留袖新造」

留袖とめそでとは振袖の長い袖を切って、歯にはお歯黒をして、大人の女性になったことを表します。ここには振袖新造から座敷持や部屋持になれなかった女郎だけでなく、禿から入らず、年長で吉原に入ってきた女郎、そして他の見世から来た女郎など、大人になってからの女郎も留袖新造と呼びます。

客を迎える部屋は大部屋を複数の女郎で使う「まわし」で、布団の間には屏風を立てて仕切っていました。

30歳過ぎて店に残り「遣手婆」に、後輩を折檻することも

30歳代「番頭新造」

女郎を卒業したという立場で客はとらず、女郎たちの世話をしたり、花魁道中の指導をしたりする役目で、小見世では一人しかいませんでした。しかし、実際は深い馴染客の相手はしたと想像できます。

見世の主人に気に入られれば、遣手やりてになる人もいます。

十返舎一九作、喜多川歌麿画『青楼絵抄年中行事』(部分)1804年(享和4)
十返舎一九作、喜多川歌麿画『青楼絵抄年中行事』(部分)1804年(享和4)、国立国会図書館デジタルコレクション(参照:2025年4月8日)
40歳以上「遣手」

年齢が限定されているわけではありませんが、番頭新造からなる人が多いので年配者が務めました。そのため「遣手婆」とも呼ばれます。

遣手は女郎全員の監視役です。そのため、女郎部屋全体の動きがわかる階段の上り口に部屋をもらって、常時女郎や客の動きを見張っていました。

時には女郎を折檻することもあったため、怖いと思われていますが、困ったときには相談に乗ってくれる人生の先輩です。