肩や腰の痛みに悩まされる人は多い。日本整形外科学会認定スポーツ医の歌島大輔さんは「肩の痛みの中には単なる肩こりではなく、病気の『関連痛』も含まれている場合がある。これまで経験ないほどの強い痛みを感じたら、迷わず♯7119(救急相談)に電話してほしい」という――。

※本稿は、歌島大輔『じゃないほうの肩こり』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

肩がこっている女性
写真=iStock.com/pocketlight
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肩こりの陰に隠れた危険な病

本稿は「“じゃないほう”の肩こり 第2群」として、なるべく早く適切な検査・治療をすべき、やや深刻な病気が原因の「肩こり」についてご紹介します。

なかには「なるべく早く」ではなく、「早急に治療が必要」という病気も含まれますから、アクセスすべき診療科もご紹介しましょう。

そして拙著『じゃないほうの肩こり』(サンマーク出版)の冒頭で述べたとおり、ここで言う「肩こり」には首や、肩甲骨周囲も含めた背部のこりや痛みも含めます。

患者さんのこりや痛みの表現は多彩で、「肩こりがひどい」と言う人に、「いちばん痛い部分を触ってください」と言うと、背中や腰に手を当てる人が往々にしていらっしゃいます。その人にとっては、普段の肩こりと連なって、背中や腰の痛みが感じられているのでしょう。

「“じゃないほう”の肩こり 第2群」の病気はいのちに関わる場合もあるので、特に肩・首にこだわらず、背部痛があるときは可能性を考えてみるのがいいです。

深刻な病気が原因で肩こりが起こっていることは、数としては稀ですが、緊急性が高い状態もあるので、知識をもっておくことが本当に大切です。

いざというときに適切な医療にアクセスするタイミングを逸しないために、記憶に留めておいてください。

「ただの肩こり」と侮ると命取りに

このような肩こりには、病気の関連で起きているため「関連痛」と呼ばれるものを含みます。まず、シンプルな判断基準で、なるべく早く、または早急に受診が必要な肩こりか、否かを見分ける目安をお伝えし、その後、肩こりを起こすことがある病気についてご紹介しましょう。

最低限の知識として、緊急度が高い肩こりを見分ける判断基準を知っていれば、肩こりと同時に、いくつかの症状を確認した際、ひとまず医療にアクセスすることを思いつくでしょう。受診先でこれらの症状があると伝えれば、医療者なら緊急度を理解することができる判断基準です。

なお、肩こりを起こすことがある病気を知っても、自己診断はやめましょう。あくまで予備知識としてお役立てください。

いずれの病気も、医師が必要な検査などを行ったうえでしか、診断はできません。

自己診断や、周囲の人の診断は、ときに適切な治療が遅れるリスクとなることもあります。受診した際、医療者に伝えるべきことは「症状」や「困っていること」で、「自己診断結果」ではないとご理解ください。