プロ野球横浜DeNAベイスターズの親会社であるDeNAの2024年3月期決算は、スポーツ事業の売上収益が累計273億円で過去最高となった。野球離れといわれる中、なぜ観客数が増え続けているのか。スポーツライターの内田勝治さんが球団を直撃した――。

座席に電源や暖房器具までつく贅沢ぶり

プロ野球球団の横浜DeNAベイスターズは昨季、セ・リーグ3位から1998年以来、26年ぶり3度目の日本一に輝いた。チームの成績に比例して、集客も右肩上がりだ。DeNAが球団を取得する直前の2011年シーズン、主催試合の観客動員数は110万人まで落ち込んでいたが、昨季は球団史上最多となる235万8312人を記録。ビジネス面でも過去最高の盛り上がりを見せている。

27年ぶりのリーグ優勝、そして日本一連覇を目指す2025年シーズンも歩みを止めることはない。今季から本拠地・横浜スタジアムのバックネット裏席最上段に、上質なラグジュアリー空間の中で試合観戦ができる「AKT エグゼクティブBOX」を新設した。

横浜DeNAベイスターズが今季から発売している「AKT エグゼクティブBOX」。上段3席、下段5席の合計8席で20万円から
筆者撮影
横浜DeNAベイスターズが今季から発売している「AKT エグゼクティブBOX」。上段3席、下段5席の合計8席で20万円から

エグゼクティブBOXは、昨季まで売り出されていたBOXシートをリニューアル。中央のテーブルを挟み、上段3人、下段5人の最大8人まで利用することが可能だ。設備も充実しており、電源タップのほかに、送風機や暖房器具を完備するなど、屋外でも快適に観戦できる環境を実現。座席後方にある簡易物入れの取っ手には、実際に選手が使っていたバットのグリップエンドが使用されるなど、ファンにとってはうれしい仕掛けも施されている。

「1人2万5000円」強気な価格が生まれた背景

さらに、球団オリジナル醸造ビール「BAYSTARS LAGER」10リットル、樽ハイ倶楽部レモンサワー10リットル、お弁当(8個)を付帯サービスで提供。重厚なオリジナルチケットホルダーも配られるなど、まさに至れり尽くせりのサービスが受けられる。

8枚1組での購入で、価格は20万円~(一人当たり2万5000円~)。法人利用を目的としているが、個人での利用も可能だ。担当を務めるビジネス統括本部チケット部の小林元春さんが、設置に至った経緯を説明する。

ビジネス統括本部チケット部チケット企画グループの小林元春さん
筆者撮影
ビジネス統括本部チケット部チケット企画グループの小林元春さん

「横浜スタジアムバックネット裏のスタンド上部には『NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)』(8人部屋33万円~。一人当たり4万1250円~)と呼ばれるVIPエリアがありますが、スタンドレベルでのVIP座席がこれまでありませんでした。スタジアム内の座席の単価、販売価格を整理していく中で、ちょうど抜けていた価格帯である『1人当たり2万5000円』程度で、エグゼクティブなラグジュアリー空間を作りたいなとなり、企画いたしました」