家賃10万円で計算すると、3600万円不足

〈家賃が月10万円の場合〉

まずは家賃が月10万円、老後年数を25年として計算してみます。

収入は仮に年金の月約22万円で年間264万円として、消費支出は月約24万円+家賃10万円で年間では408万円です。

老後の年間不足額(家賃含む老後の年間支出408万円-老後の年間収入264万円)×老後年数25年=3600万円

このシミュレーションでは、3600万円の老後資金が必要になります。ただ、昨今の年間3%程度の物価上昇率を考慮すると、3600×1.03=3708万円、少なくとも3700万円の老後資金が必要になるとみていいでしょう。

〈家賃が月15万円の場合〉

都内で2人暮らしとなると、月10万円では済まない可能性があります。たとえば、月15万円の家賃を払って暮らすと想定すると、消費支出は月39万円で年間468万円に膨れ上がります。

老後の年間不足額(家賃含む老後の年間支出468万円-老後の年間収入264万円)×老後年数25年=5100万円

これが25年続くとすると、必要な老後資金は約5100万円、物価上昇率を考慮すると5200万円程度となります。

老後に「夫婦2人暮らし」は主流じゃなくなる

最近の傾向では、「おひとりさま」が増えているだけでなく、定年退職前後に離婚する夫婦が多くなっており、「高齢夫婦世帯」という括りは今後、圧倒的多数ではなくなっていくと感じます。

※朝日デジタル「『熟年離婚』の割合が過去最高に 長寿社会、役職定年も背景に」(2024年8月13日)

夫婦の3分の1が離婚のリスクに直面しているといわれています。特に熟年離婚は過去最高といわれるように、先ほどの家計調査の前提は覆されます。

また、1つの会社で定年まで働くという時代ではないので、確実に一定額の年金をもらえるという点も想定しにくい状況です。こうした点を鑑みると、個々で「自分で必要な老後資金を計算する」というほうが現実的と思われます。