海外では違法となる「ステルシング」

相手に求められたにもかかわらずコンドームを使用しないことは言語道断です。その場合、相手の女性により強い不安や屈辱感を与えることとなり、性被害を受けたという認識を与える可能性が高まります。

相手に気づかれないようにコンドームを外して性行為を行うことは、海外では「ステルシング」と呼ばれ、カナダやスイス、ドイツ、イギリスなどでは「性的強要」などとして扱われ、刑事処罰の対象となっています。

ただ、日本では現在のところ、ステルシングを罰する法律はありません。ところが、自らが性感染症に感染していることを知りながら避妊具を使用せずに行為に及び、相手を性感染症に感染させてしまった場合は、傷害罪に問われる恐れがあります。

また、女性がコンドームの使用を条件に性行為に同意しているにもかかわらず、強引に生で挿入した場合には、不同意性交等罪に該当する可能性もあります。さらにその結果、性感染症に感染させた場合は、不同意性交等致傷罪に問われることもあり得るでしょう。

セーフ・セックスすべきこれだけの理由

加えて、コンドームを使用したという事実が、警察の捜査や起訴後の裁判において、男性側の潔白を証明する証拠となることもあります。もちろんコンドームを使用していても不同意性交で逮捕・起訴された事例はありますが、そうしたケースは私の知る限り、少数です。

例えば、被害を訴える女性による「無理やり押さえつけられて逃げられなかった」という主張に、「抵抗する女性を押さえつけながらコンドームを装着することは不可能」と反証することができる場合があります。

さらにコンドームを女性に装着してもらったり、包装から取り出してもらったりすることで、さらに有力な「同意の証拠」を残すこともできます。

性感染症防止の観点からも、法的リスクの観点からもコンドームを使った「セーフ・セックス」を心がけるようにしましょう。