芸能人やスポーツ選手は巻き込まれやすい

さらに、罪の認識がないにもかかわらず、性犯罪トラブルに巻き込まれてしまう男性の属性にも、一種の傾向が存在することに気づきました。

職業で言えばまず、芸能人やインフルエンサー、スポーツ選手などの有名人がそうです。女性が被害を訴えた際、加害者の名前や所在がはっきりしているほうが、警察は捜査に着手する可能性が高いからです。一般人でも、ネットやSNSで検索して名前や顔が出てくるような男性は、同様の理由で訴えられるリスクが比較的高いと言えます。

また、有名人を逮捕できれば、社会的にもインパクトを与えるため、被害の訴えがあれば警察も積極的に捜査を行うというのも一つの理由だと思います。

次に社長や経営者、医師や教員、そして弁護士など、社会的地位があり、「社長」、「先生」と呼ばれているような人たちも、性犯罪の嫌疑をかけられることが少なくありません。私の実感では、特に一定以上の規模の会社の経営者が、性加害の容疑をかけられるケースが多いように思います。

これらの職種には、比較的お金に余裕があるためか、派手な夜遊びを好む人も多く、異性との接触が比較的多いということも理由の一つかもしれません。

しかしそれ以上に、ふだん周囲から持ち上げられていることで、「自分はモテる」と調子に乗ってしまっている人も多く、さらに相手の本当の気持ちを察することを怠ってしまいがちであるということが、その背景にあるような気もします。

公務員や銀行員もリスクが高い

また、富裕層特有のケースが、債務者から性犯罪で訴えられるリスクです。私が知るところでも、200万円を貸した相手の女性とその後、体の関係となった結果、性被害を主張され、慰謝料500万円を求められたという事案がありました。

加藤博太郎『セックス コンプライアンス』(扶桑社新書)
加藤博太郎『セックス コンプライアンス』(扶桑社新書)

女性は、不同意性交の成立要件の一つである「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益の憂慮」の状況にあったと主張していましたが、男性が弁護士をつけたところ、要求を取り下げたようです。

加えて、学校の教員や警察官、自衛隊員などをはじめとする公務員や銀行員など、オカタイ職業の人も、性犯罪トラブルに巻き込まれやすいと言えます。これはあくまで想像ですが、旧態依然とした組織で働いているせいか、女性との接し方や性交渉に対する考え方もアップデートできていない人が多いのかもしれません。

さらに付け加えれば、これらの職種は全て美人局や虚偽告訴のターゲットとなりやすいということも指摘できると思います。

それぞれ守らなければならない社会的地位もありますし、収入も高い場合が多いので、簡単に示談金を取ることができるとみられているのでしょう。

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