脳科学的な「成人式」は30歳
脳は、生涯にわたり成長を続けます。現在の日本では18歳で成人を迎え、大人になったことを実感すると思います。脳の働きでいえば、その頃はまだ成長過程。記憶力や判断力、決断力など、あらゆる面を考えても、20歳以降の大人の脳の方がレベルは上です。
脳科学的な「成人式」は30歳です。
代までの脳は、器官としてはまだ未熟で、成長段階にあります。脳の成人を迎えた後も、脳の機能はどんどん成長し、本来の「脳力」を発揮できるようになります。
その成長に「終わり」はありません。生涯にわたって、成長を続けます。
脳の中には、複雑な情報処理を行う部分があります。脳の「エリート集団」とも呼べるその場所を、私は「超脳野」と呼んでいます。
超脳野には、以下のようなものがあります。
①超側頭野……記憶や知識の蓄積を担う。30代が成長のピーク
②超頭頂野……情報をもとに分析や理解をする。40代が成長のピーク
③超前頭野……実行力や判断力を司る。50代が成長のピーク
これらの高次的な脳の力は、中年期以降がピークで、後天的に伸ばしていけるものです。つまり、学ぶには絶好の時期だといえるでしょう。
老化ではなく、得意なことが変わるだけ
脳全体の最盛期は40代後半から50代です。
皆さんが「老い」を感じる頃が、実は脳の“旬”なのです。結婚や就職、仕事……ライフステージのさまざまな変化を経験し、新しい刺激を受ければ受けるほど成長する脳の高次機能が熟成をするのは、中年以降。
30代~50代、特に45歳から55歳までの期間は人生における脳の「ゴールデンタイム」といえるでしょう。
さらに大人の脳は、いくつになってからでも「学びたい」という欲求があれば驚くべき成長ができる可能性を秘めています。それはゴールデンタイムを過ぎた60歳でも80歳でも同じ。
繰り返しになりますが、脳は生涯成長をし続ける仕組みを備えています。ですから、脳の「衰え」を感じた場合、脳の成長が滞り始めているサインです。
たとえば、得意なことが変わっていくだけで、以前できたことができないために、私たちはその変化を「老化」だと思いこんでしまうこともあります。