いい物件を見分ける方法はあるのか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「不景気に建てられたマンションは、広さと設備・機能のバランスが良い傾向がある。逆に、プチバブル期に建てられた物件は、工期短縮による施工不良が見つかる可能性がある」という――。

※本稿は、長嶋修『2030年の不動産』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

住宅のペーパークラフトの一部を拡大鏡で拡大している
写真=iStock.com/SvetaZi
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夢のマイホームは「中古」が一般的に

日本の住宅市場は、住宅を次々に新築しては消費するフロー型から、すでにあるものの有効活用を考えるストック型へと移行しています。2030年には、都市部で「マイホームを買いたい」と考えたとき、第一候補は中古マンションになっているでしょう。

新築マンションの供給が減って販売価格が高騰する一方、中古マンションのストックは着実に積み上がっています。購入を考えるなら、中古という選択肢が多くの人にとって現実的なものとなっていきます。

【図表】不動産価格指数(住宅)(2024年3月分・季節調整値)
2030年の不動産』(日経プレミアシリーズ)より

都市部では、戸建よりもマンションにニーズが集中していますし、今後もその流れは続くでしょう。マンションのほうが駅から近く、利便性に優れた物件が多いほか、セキュリティ面や耐震性などに関しても安心感があると見られているからです。

シニア世帯にとってはメリットだらけ

マンションを買っている層は、初めてマイホームを購入する一次取得層(30~40代が中心)に加えて、二次取得層のシニア世帯も多く見られます。

高齢になって車の運転が難しくなったときには、利便性の良い場所のほうが住みやすいもの。階段で上り下りをしなければならない戸建よりも、フラットなマンションのほうが安全、という考えで選択する場合もあるでしょう。

マンションは建物・設備など共有部のメンテナンスや、建物周りの清掃などを自分でやらずに済むため、何でもかんでも自分でやらなければならない戸建よりも手間が少なくて済み、シニア世帯にとってはメリットが大きいと言えます。

「マンションを買うなら、絶対に新築がいい」「それが難しければ、築数年以内の築浅がいい」というようなこだわりを持つ人は多いものです。誰も使用していない、まっさらの空間で新生活を始めたい気持ちはよくわかります。

とはいえ、中古マンションには新築マンションにはないメリットもあります。そこで、中古マンションのメリットや、物件を選ぶうえで必ず知っておきたいポイントを解説していきましょう。