日本屈指の海城の真ん前にタワマン

こうした事例は松江にかぎらず、全国で起きている。たとえば高松市。瀬戸内海に面したこの香川県の県庁所在地も城下町で、かつて高松城は北面が海に接し、海水が石垣を洗う日本屈指の海城だった。

高松城(玉藻公園)の艮櫓、香川県高松市
高松城(玉藻公園)の艮櫓、香川県高松市(写真=663highland/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

残念ながら、城のすぐ前の海は埋め立てられているが、海辺がさほど遠くなったわけではない。本丸、二の丸、三の丸などは石垣や水堀もよく残り、その水堀にはいまも海水が引き込まれ、泳いでいるのはコイかと思えばタイやボラである。2棟の三重櫓も現存して、国の重要文化財に指定されている。また、明治時代に取り壊された天守は複数の古写真が残るなど資料が多い。近年、傷んでいた天守台の石垣の整備も終わり、天守の復元計画が進められている。