英国は2020年1月をもって欧州連合(EU)から離脱した。もはやEUが定めた財政運営ルールを守る必要はないから、この点においては、防衛費の増額の手段として国債を増発することが容易な環境にある。にもかかわらず、スターマー政権は歳出の見直しを通じて、防衛費の財源を確保しようとしている。それはいったいなぜだろうか。
2025年2月27日、キア・スターマー首相がホワイトハウスでアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと二国間会談(写真=Simon Dawson/Number 10 Downing Street/OGL v3.0/Wikimedia Commons)
左派政策とのバランスに苦慮
その理由は、スターマー政権が多くの左派政策を企図していることにある。スターマー首相は中道左派の労働党の出身であるため、基本的に「大きな政府」路線を歩もうとしている。昨年10月に発表された予算案でも、インフラの再開発、鉄道サービスの国有化、脱炭素を前提とした公営エネルギー会社の設立などの左派政策が盛り込まれた。
他の欧州諸国と同様に、英国もまたインフラの老朽化に苛まれているため、インフラの更新は現実的に優先されるべき課題である。一方、化石燃料に恵まれた英国が脱炭素を前提に公営エネルギー会社を設立し、その下で再エネの一段の普及を目指そうとする姿勢には疑問が残る。いずれにせよ、目指す政策はどれも多額の支出を伴うものだ。
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