ご療養10年目を迎えた雅子皇太子妃を巡り、論壇やメディアが騒々しい。雅子さまのご療養生活の長期化とご公務の欠席を受け、皇太子ご夫妻の離婚や皇太子の退位論が語られ始めたのだ。
きっかけは宗教学者の山折哲雄氏が発表した「皇太子殿下、ご退位なさいませ」(「新潮45」3月号)。山折氏は、宮中祭祀不参加報道が雅子さまの病状の回復を邪魔している一方、皇太子は雅子さまとの愛を守る決意を固めているとし、皇太子に、ご家族を守るために退位(皇位継承権の放棄)を勧めた。
これに対し、旧皇族で作家の竹田恒泰氏が退位論を批判する「皇太子殿下の祈りは本物である」(「新潮45」4月号)を発表。評論家の西尾幹二氏も「月刊WILL」5月号で退位論に反駁し、ご夫妻に離婚を勧めた。ノンフィクション作家の保阪正康氏も「文藝春秋」5月号で「皇太子おひとりご公務の研究」を発表。朝日新聞や週刊誌などでも、この問題が繰り返し取り上げられている。
が、そもそも皇太子の退位は「皇室典範」という法律上認められておらず、これを改正しない限り退位は不可能だ。
一方、保阪氏の「皇太子おひとりご公務」の是非は今後、重大な論点になりそうだ。皇太子ご夫妻の天皇、皇后即位後も、雅子さまの病状が思わしくない場合、天皇のおひとりご公務を社会が受け入れるかどうかである。
「今の天皇、皇后両陛下は、お揃いで国民の前にお出ましになることが多いので、国民もそれが当たり前と思っています。でも明治天皇や昭和天皇の時代は皇后が行幸にご同伴されることはなかった。皇室の歴史からすると、両陛下がご一緒に行動することのほうが珍しい。恐らく国民は天皇のおひとりご公務に理解を示すのでは」(皇室ジャーナリスト)
無論、国民が待ち望んでいるのは、言うまでもなく雅子さまのご快癒だ。