「長く働け」改革は本当に優遇か

これらの制度改革に、私は一抹の懸念を抱いています。もちろん全体の方向性は高齢者への優遇措置として望ましい一方、こうした「高齢者層の長期勤労」を前提とした動きにはたして安定性や持続性はあるのでしょうか。

というのも、現在の日本人の平均寿命は80代ですが、健康寿命となるとひと回り下の70代となるからです。元気に働ける健康寿命は、思いのほか短いのです。

厚生労働省「健康寿命の令和4年値」によると、日本人女性の場合、平均寿命と健康寿命の差は、令和元年が12.6年(平均寿命87.45年、健康寿命75.38年)、令和4年が11.63年(平均寿命87.09年、健康寿命75.43年)。多少縮まっているものの、平均寿命と健康寿命には約12年の差があります。一方、日本人男性は、令和元年が8.73年(平均寿命81.41年、健康寿命72.68年)、令和4年が8.49年(平均寿命81.05年、健康寿命72.57年)と、差は広がっています(*1)