自営業者は、iDeCoの代わりに「小規模企業共済」を

iDeCoには、「年間81万6000円までの掛け金と運用益は、全額所得控除になる」というメリットがあります。そのために、続けたいという方もいらっしゃるでしょう。

荻原博子『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP研究所)
荻原博子『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP研究所)

自営業者の方であれば、同じくらいの額が税額控除になる「小規模企業共済」があるので、これを検討してみてはどうでしょう。

小規模企業共済も、iDeCoと同じように掛け金の全額が所得控除になるからです。上限は、月額7万円(年間84万円)です。

iDeCoと小規模企業共済の大きな違いは、「使い勝手の良さ」と「リスクの差」です。

「使い勝手」については、前述したようにiDeCoは60歳にならないと、積み立てたお金を引き出すことができません。

一方、小規模企業共済は、個人事業主の退職金のようなものですから、事業をやめた時に積み立てたお金が返ってきます。ただし65歳以上なら、仕事を続けていても、積み立てたお金を受け取ることができます。

iDeCoと最も違うところは、貸付制度があること。掛け金の7〜9割を、50万円から1000万円の範囲内で借り入れができます。

「リスクの差」はどうでしょう。

iDeCoは投資商品で運用するのでリスクがありますが、小規模企業共済はこの10年間平均2%程度で運用され、基本共済金に付加共済金も上乗せされます。

ちなみに、iDeCoは、投資商品のほかに預貯金で積み立てることもできます。ただし加入時のほか、最低でも年に2000円程度の手数料がかかるので、預貯金は銀行などで積み立てたほうがいいでしょう。

将来的なリスクを考えると、
iDeCoに加入するのが得策とはいえない
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