ストレスで難聴と適応障害に、やむなく他業種に転職する

その後、匿名さんはITコンサルへの転職が決まり、退職することに。銀行を辞める時点で洗いざらいぶちまける手もあったが、「法的手続きに発展した場合には次の職場にスムーズに行くのが難しそうだと思ったこと、相手にはお子さんがいることもあり、大ごとにする必要はないと思いました。もう気力もなかったですし」と振り返る。

ちなみに、転職先のITコンサルには、こうした1対1のメンターとの密な関係性や飲み会の文化はなく、プライベートの連絡先を知っている人は、仲の良い同期や先輩ていど。一方、匿名さんの投稿に対しては、いくつかの銀行関係者からDMで「○○銀行の▽△さんですか」といった連絡が何件も来たそうだ。やはり銀行にはそうしたケースが多いのではと実感し、同じような境遇にある女性たちにはこんなアドバイスをする。

「私の場合、新人研修でベテランの女性行員の方から『自分も女性だからひどい目にあったけど、負けずにここまでやって来た、逆境を乗り越えて今がある』という話を聞いたんですね。それで、『セクハラなどもうまくかわすことが強さなんだろう』と思ってしまったところもありましたが、それは乗り越える必要なんてないから、ハラスメントの窓口や人事などに相談してほしいと言いたいです」

メンターの男性から送られてきた罵倒を含むLINE
提供=「匿名」さん
メンターの男性から送られてきた罵倒を含むLINE
提供=「匿名」さん
メンターの男性から送られてきた罵倒を含むLINE

トラウマで、いまだに会社の男性とは打ち解けられない

匿名さんは今回、「#私が退職した本当の理由」タグに投稿して救われたところがあったのだろうか? そう尋ねたところ、こんな回答が。

「私は転職して1年経ちますが、いまだに会社の男性とプライベートでは一緒に過ごしたくないと、人間関係を塞いでいるような状態です。そんなトラウマを引きずる中、このタグを見つけて、このまま一人でグチグチ考えて潰れてしまうよりは、誰かの意識が変わっていけばいいなと思いました。タグで検索して、似たような目に遭っている女性がたくさんいることも知りました。励ましてくれたり、幸せを願ってくれたりする女性もいて、自分の思いを吐き出すだけでも少し楽になった気がします」