土葬を火葬にした上皇の意向
果たして今も、こうした煩瑣な葬送儀礼をくり返すことは必要なことなのだろうか。
宮内庁としては、それで予算を確保できるのかもしれない。役人はいかに予算を確保するかに力を注ぐ。
だが、皇室喪儀令をモデルとした葬送儀礼を続けることは、天皇や皇族に大きな負担を強いることになる。皇族の数が減り、公務の負担がその分大きくなっているなかで、葬送儀礼の簡略化は是非とも必要なことではないだろうか。
現在の上皇の意向で、土葬を火葬にするとともに、御陵(天皇の墓)が縮小されることになったのは、まだ天皇に在位していた2013年のことだった。葬送儀礼の簡略化は、そうした上皇の意向に沿うものであるはずである。

2014年4月24日、皇居でオバマ大統領、安倍首相、昭恵夫人と会見した明仁天皇、美智子皇后(写真=East Asia and Pacific Media Hub/米国国務省/William Ng/PD US DOS/Wikimedia Commons)
皇室喪儀令は廃止されてしまったわけで、天皇や皇族の葬送儀礼は法律によって定められたものではない。政府が決定すれば、すぐに実現される。
首相の決断が、今や求められているのである。