80代までよくぞ頑張られました

Q2)80代ですが、無年金で蓄えが尽きてしまいました。もし、認知症になったら息子、娘に迷惑をかけるのではないかと心配です。

現在80代ということは、1980年代半ばの、あのバブルの時代に働き盛りだった世代ですね。

あの頃は女性運動も盛んで、私の周りにはフリーランスのライター、デザイナーなど、メディアで活躍されている方も多くいらっしゃいました。そういう方々は年金を信じておらず、加入していない方がほとんどでした。世の中の好景気で収入も高く、海外旅行などにもしょっちゅう行っていました。

私はそういう仲間に、「派手に暮らさず、年金のない老後に備えて貯金をしましょう」と言ったものです。相談者さんも、そう思ってきちっと蓄えをされていたのだと思います。

ただ、当時は人生80年時代でした。人生100年時代と、20年も寿命が延びて計画が狂ってしまわれたのですね。

暗い部屋で泣くシニア女性
写真=iStock.com/Hartmut Kosig
※写真はイメージです

女の人生3つの滑り台

生まれた時は、ほぼ男女同数です。でも時を経るにつけ、このバランスは徐々に崩れていきます。

2024年度の高齢社会白書によりますと、65歳~74歳人口の男女比は、女性を100とすると男性は92です。男性も長生きになったのですね。85歳から94歳人口での男女比は、50対100と大きく差が開きます。やはり女性のほうが圧倒的に長生きなのです。

高齢者世帯の9割以上が何らかの年金を受給されています。高齢者の生活は年金で支えられていると言っても間違いないと思います。

ところが、女性には年金と縁が切れる3つの滑り台が待ち受けているのです。

相談者さんが、もし会社に勤めていて、年金に加入していたとしても、当時は加入期間が25年以上でないと年金を受給できませんでした。