国が想定していた“女性像”
待ち受ける第1の滑り台は妊娠、出産です。結婚で退職する方は徐々に減っていきましたが、子どもができると会社を辞めるのが当たり前の風景でした。
第2の滑り台は、第1の滑り台をかわして、働き続けたとしても2番目を産むかどうか、子どもが小学校に上がった、夫が転勤になったなどで働き続けるのが難しくなる。
第3の滑り台は、40代~50代の介護離職です。
これらの滑り台で女性が年金制度から滑り落ちるのです。こうして女性は家庭に引き戻され、年金を積み立てて老後に備える機会を奪われたといっても過言ではありません。女性は結婚して夫の収入で安定した暮らしをし、夫に先立たれた場合は、遺族年金で安定した暮らしを、と国は考えているようですが、そこから滑り落ちた女性たちがたくさんいらっしゃるのです。夫婦は離婚することもあるということさえ忘れているのかもしれません。
約40万人の滑り落ちた女性たち
私は、かつてこの状況を「貧乏ばあさん=BB大発生」と警鐘を鳴らしたことがありました。
このBB問題は過去の負の遺産であり、未来に続く大問題です。現在では、女性も定年まで働くことが多くなっています。滑り台は取り除かれて、ある世代以降はよいのですが、まだまだ、制度の隙間に滑り落ちた方々が40万人くらいいるのに可視化されていないという状況が続いています。
相談者さんも、お体が健康なら働きませんか? 私は「働くばあさん=HB」と言っています。HBはハッピーばあさんでもあります。シルバー人材センターなどで、高齢者の働く機会は創出されつつあります。心配されている認知症状が出たら介護保険を活用してください。