新しいアパートが次々と建設されるワケ
土地は更地で所有して相続が発生すると、路線価で評価され課税対象となります。ところがアパートなどを借入金で建設し運用していれば、土地は貸家建付地として一定限の評価減が受けられ、建物は固定資産税評価額に対して貸家の評価減が適用されます。
さらに建設にあたって調達した借入金元本相当が評価額から差し引かれますので、相続税の節税につながるのです。
もちろんアパート収入も期待できるので、相続人の収入にもなる。そこでアパート業者や金融機関、税理士などのすすめで、当該エリアでの需給バランスと関係なくとりあえずアパートを建設してみようということになるのです。建設開業当初は業者による賃料保証なども受けられるので、安易に建設に踏み切る事象も多く見受けられます。
「放置空き家」は5年で37万戸増加
個人住宅空き家数は385万6000戸です。前回調査(2018年)から37万戸、10.6%の高い伸びを記録しました。
賃貸用空き家はたまたまテナントが入居しておらず、新たに募集を行なえば空きが解消する可能性があります。ところが個人住宅空き家は、所有者自ら居住せず、貸すことも売ることもしていない、言わば放置状態にある家を指します。
日本の人口はすでに2010年頃を境に減少に転じています。単独世帯が増加することで住宅総数は増え続け、ファミリー世帯に空き家が増加しています。空き家率の上昇が緩やかなのは、こうしたライフスタイルの変化による世帯数の増加が背景にあります。
ただ個人住宅空き家は増えるいっぽうで歯止めがかからない状況になってきました。個人住宅空き家は放置を続けることで、近隣や地域全体での新たな社会問題を引き起こす可能性を内包しています。
空き家はどの地域に多いのでしょうか。【図表2】【図表3】は都道府県別に見た空き家率の高いランキングおよび低いランキングを並べたものです。