良い人生の決定要素は「良い人間関係」

② つながり

幸福の「資本」論』(橘玲著、ダイヤモンド社刊)という本に、つながりとは社会資本(家族や友人を含む人間関係)であり、幸福を考えるうえで一番重要であるといったことが書いてあります。

その理由は、「人間は共同体(職場や家族など所属するところ)の仲間から評価されたときに幸福感を感じる生き物だから」とも解説されています。

ハーバード大学教授のロバート・ウォールディンガーが、1938年から80年続いたハーバード成人発達研究の成果をTEDトークで公表しています(「What makes a good life? Lessons from the Longest Study on Happiness〈人生を幸せにするのは何? もっとも長期にわたる幸福の研究から〉」)。

「良い人生の決定要素は何か?」をテーマに724人の人生を75年間にわたって追跡調査したところ、重要項目は、「お金」でも「名声」でもなく、「良い人間関係」という結果だったそうです。

現代社会のハイパーコネクテッド社会を、人物アイコンを線でつなぐことで表現するコンセプト
写真=iStock.com/mesh cube
※写真はイメージです

つながりは幸せな思い出を残してくれる

私たちは、いくらたくさんお金を持っていても、死んだら使えないし、身体は老いとともに朽ち果てていく。最終的に残るのは、「幸せだったなぁ」という思い出です。

思い出は、一体何から生まれるのか? 良い人間関係です。家族と笑い合った日常や、友人たちとの楽しい雑談……。つながりは人を幸せにするのです。

「良い人間関係」といっても、優秀な人、地位の高い人とのつながりなど、大げさなものを指しているわけではありません。一緒にいてストレスを感じない人、気が合う人とのゆるく長く続く関係のことです。具体的には、家族やジム仲間、趣味仲間とのつながりなど。

また、つながりは多いほうがいいというわけでもありません。関わる人が多すぎると、人間関係のストレスや、コミュニケーションコストがかかります。

進化人類学教授のロビン・ダンバーは、人間がスムーズで、かつ安定的な社会関係を維持できる上限人数は、30〜150人(ダンバー数)だと報告しています。イメージとしては1クラス〜1学年5クラスくらいまでといった感じでしょうか。