65歳で退職してから、25〜35年近くを過ごす

3つ目の締め切りは、65歳の再雇用雇い止めです。

65歳までの再雇用制度を導入している企業では、このタイミングで完全に会社から離れることになります。

ただし、2021年に施行された「高年齢者雇用安定法」では、70歳までの就業機会の確保を努力義務としています。これにより、定年年齢を70歳まで引き上げたり、70歳までの再雇用制度や、業務委託契約を導入したりするケースも見られるようになっています。

契約後に握手をするビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
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最後にやってくる締め切りが寿命です。

内閣府によると、今から約40年後の2065年に、日本の平均寿命は男性84.95年、女性91.35年になると見込まれています。今後の寿命の延びを踏まえれば、100歳まで生きる可能性も大です。65歳で退職したら、25〜35年近くを過ごすことになります。

仮に会社を辞めたあとに個人で仕事ができたとしても、さすがに80歳まで現役をまっとうするのは難しいでしょう。

平均寿命の前に健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)のリミットがありますから、それなりに活動できるのは80歳くらいまでかもしれません。

人生の後半を楽しく有意義にできるかは50代で決まる

しかも、年を経るごとに、充実して過ごせる時間は限られていきます。

私が会社を独立してフリーランスになったのが34歳のときです。当時は睡眠時間を削り、名刺を1000枚つくって3カ月で配り切るといったやり方で人脈を広げていました。非常に密度の濃い時間を過ごしていたという実感があります。今ではとてもそんな働き方は不可能です。

たとえば冷蔵庫の買い換えのタイミングは、一般的に約10年とされています。

ふと、「自分はあと何回、新しい冷蔵庫をわが家に迎え入れるのだろう」なんて考えるときがあります。

また、「自分は死ぬまであと何冊、本が読めるだろう」なんてことを考えることもあります。

これからは締め切りを意識しながら、貴重な時間を楽しく有意義に使っていく必要があります。人生の後半を楽しく有意義にできるかどうかは50代で決まります。