2時間の長丁場でもさらさらとメモを取れる

私が裁判所書記官として法廷に入っていた頃、証人尋問や本人尋問などで当事者が話したことをメモに取り、調書にまとめる仕事をしていました。

そのときは、事前に事件記録を読み込んで、どういう事件か、誰の、何のための尋問なのかを簡単に書いておくようにしていました。そうすることで、2時間近くある長い尋問でも要点を意識してメモを取ることができ、あとで調書にまとめやすくなるのです。

会議も同じで、事前に上記のようなことを確認して、ある程度流れを予想しておくと、メモが取りやすくなります。場合によっては、意見やアイディア、必要な資料などを用意して臨むこともできるようになります。

また、会議には、必ずその日の目的や目指すべきゴールがあると思います。右側の一番上には、たとえば、「次のプロモーションの方向性と役割分担、スケジュールを決める」「新しい商品について、AとBどちらの企画で進めるかを決める」など、具体的な目的を書いておきます。もし複数あるなら、全部書いておきましょう。

目的さえちゃんと把握しておけば、たいていの意見は的外れにはなりません。

会議では、いろいろとアイディアを出していくうちに、いつの間にか、目的から離れていってしまうこともよくあります。そんなとき、すぐに本題に戻れるようにするためにも、メモに「目的」を書いておきましょう。

データの記載された資料を用いて会議をする様子
写真=iStock.com/SeventyFour
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左側は「自分の考えや判断をはさまずに書く」

準備ができたら、いよいよ会議に臨みます。

まずメモの左側に「事実」や「他の人の発言」を書いていきます。要は、自分で感じたこと、考えたこと以外のすべてです。

左側を書くときの基本的なポイントは、「自分の考えや判断をはさまずに書くこと」です。

言語化が苦手な人は特に、「自分は何を話そう」「これを言ったらどう思われるかな」などと、意識が自分自身へ向きがちになります。ですが、自分のことをあれこれ考えながら、話を聞いて書くのは難しいですよね。大事な話を聞き逃さないためにも、他の人が話す場面では、しっかり相手の話を聞いてメモを取ることに集中することが大事です。

最初は「話している内容をもれなく書く!」くらいの勢いで向き合うのがよいと思います。大事な部分だけをうまくまとめようと思う必要はありません。そもそも何が重要な情報なのかを判断しながら書くのは、かなり難しいことだからです。

まずは質より量。話が一区切りつくまで、あるいはある程度考えるための情報が出そろうまでは、左側のスペースを埋めることに集中しましょう。