もう一段の上昇も期待できる北陸新幹線の沿線県

2位の福井県、4位の石川県、5位の群馬県はいずれも24年3月に北陸新幹線が敦賀まで延伸開業した沿線の県であることにお気づきではないだろうか。

鉄道の新線・新駅の開業は、不動産市場、マンション市場に大きな影響を与えるが、そのインパクトは、何段階かに分けてやってくる。第1段階は計画が話題になり始めたころで、第2段階は計画が本決まりになって、事業が動き出すころで、第3段階が計画の実現が目前に迫って、延伸地域での再開発などが明確になってくる時期だ。

そして、第4段階が、新線・新駅が実現して、利便性の高まりを実感できるようになって、人の動きが活発化してくる時期で、周辺の開発がうまく行けば、もう一段の上昇が期待できる。その点、2024年3月に延伸が実現した福井県がまさにそうで、さまざまな再開発事業が完成しつつあるため、騰落率が高くなっているのではないかと考えられる。

たとえば、福井駅の駅前では、「ふくまちブロック」として、ホテル、商業施設、マンションなどが一体開発され、2024年に竣工、様相が一変した。

福井駅
写真=iStock.com/Kimichan
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コンパクトシティとして注目される「ふくまちブロック」

地方の県庁所在地が駅名になっている駅では、都市の中心部が駅前から離れていることが多い上、郊外などに大規模商業施設が誕生し、そちらに集客力を奪われ、駅前エリアはどちらかといえば、発展から取り残され、活気の乏しい駅が多い。

しかし、幸いなことに、福井駅は多くの県庁所在地と異なり、駅前から市街地が始まり、もともと大規模商業施設が揃っていて、市役所、県庁などの官公庁、金融機関、全国企業の支社・営業所などのオフィスの集積も進んでいる。

その上で、北陸新幹線の延伸に合わせて駅前の再開発が行われ、「ふくまちブロック」には地上28階、高さ120メートルのホテル・オフィス棟、地上28階、高さ100メートルの住宅棟、駐車場棟が登場し、福井市の都市機能が強化された。あわせて、駅前の電車通り沿道などに歩行者空間を確保、歩行者ネットワークが形成された。

再開発によって新たな機能が加わり、まさにコンパクトシティとして、快適な都市機能を享受できるようになっている。