嫌いな理由その5

〈自分がいつの間にか「老害」になっていることを自覚できない〉

「自分は年をとっても、絶対に『今どきの若いモンは』なんて言わない」――。若かりし頃の昭和人間は、誰もがそう心に決めていました。しかし、なんということでしょう。実際に中高年になった今、昭和人間の大半はスキあらば若者批判をせずにいられません。もっともらしい分析などしつつ、「単純に今どきの若者を批判しているわけではない」という顔をしたがるケースもありますが、往生際が悪い分、むしろ「老害感」が強まります。

そう、昭和人間の世代は、誰もが「老害」になる宿命から逃れられません。時代の変化や自分の役割の変化を踏まえた上で、多少は役に立つ老害になりたいところ。「自分はまだまだ若いモンには負けない」と言い張っていると、ただ迷惑なだけの老害になります。「自分は老害じゃない!」と本気で思っている老害ほど、見ていて痛々しいものはありません。まあ、反面教師になってくれるという意味では、ありがたい存在ではありますが。

石原壮一郎『昭和人間のトリセツ』(日経プレミア)
石原壮一郎『昭和人間のトリセツ』(日経プレミア)

このように昭和人間は、昭和人間に対して日々「やれやれ」とか「おいおい」といった気持ちを抱いています。忘れてはならないのは、すべて「お互い様」だということ。自分にも思い当たる節があるからこそ、自分もやってしまいそうだからこそ、マイナスの感情がふくらんでしまうという構図はあるでしょう。

それぞれに至らないところだらけだとしても、微妙な世代差はあるにしても、昭和人間は大きく見れば頼りになる同志であり大切な仲間です。足の引っ張り合いをしている場合ではありません。力を合わせて令和の時代をたくましく生きていきましょう。

何かとややこしい昭和人間が自分自身を振り返るために、また若い世代が彼らを理解・攻略するためにも効果絶大な拙著『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)が少しでもお役に立てたら幸いです。ビバ、昭和人間!

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