長期勾留を盾に被疑者の不安を煽り、自白を迫る
ネクタイやベルトなど首吊りに使えそうな紐が付いた衣類は禁じられる。与えられたサンダルには四桁の番号が記されていた。「八五〇一」。それが私のここでの呼称だった。それから二十日間、特捜部の取り調べを受けた。
刑事訴訟法では、勾留期間は十日間が原則であり、「やむを得ない事由」がある時に限り、十日間の延長が認められる。しかし現実の運用では、特捜部に逮捕されれば二十日間の勾留が当たり前になっており、そのうえ再逮捕、再々逮捕で四十日間、六十日間勾留されることも珍しくない。検察官は「いつになったら出られるのか」という被疑者の不安を衝いて、自分たちが描いたシナリオに沿って虚偽の自白へと追い込んでいくのである。
毎日午前中は弁護士の接見がある。検事の取り調べは午後二時間、夜に二、三時間。二十日間で約八十時間に及んだ。被疑者が緊急に弁護士を呼ぶためには電報を打つなどしなければならない。土日は弁護士に接見できないが、検事は自由に取り調べができるという公平性を欠いた運用になっている。
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