「使えない経理」が一目置かれる存在になるまで

入社当初は実務経験がない分、専門的能力を磨きました。予習のおかげでマナーや会計の基礎は教わる必要はなく、会社独自の決まり事や慣習を聞くだけで済みました。

そして仕事に必要な建設業簿記、日商簿記、宅建の勉強を始めました。要領よく仕事をこなし……

……なんて言えたらよかったのに。本当の私は、要領が悪い、ダメダメ新入社員でした。

その反省で、「ぜひこうしてほしい」という理想型を、ここまで述べました。

実際に私が奮起して勉強を始めたのは、新卒で入った建設系ブラック企業で現場社員に「使えない経理」として邪険に扱われる中で、これじゃダメだと思ったところから。かなり回り道をしてしまいました。

勉強を始めたのは、本当です。当時は、ユーチューブやオンライン学習もなく、音声のみのカセットテープが自宅に送られてくるだけ。そんな時代に、難易度の高い資格を取るのは大変でした。

でも、追い詰められて一気呵成に勉強しまくることで、特殊な会計や税法にも詳しくなり、上司や先輩から聞かれる立場になり、一目置かれる存在になりました。

そして一度知識を身につけてしまえば、悩む時間も減り、それ以降は要領よく仕事をすることができました。

ヒゲの永久脱毛のように、最初にお金と時間をかける

今、私の友人である一流ビジネスパーソンの間では、「ヒゲの永久脱毛」が流行っています。毎朝のヒゲ剃りは手間がかかり、時間の無駄。脱毛は最初こそお金と時間がかかります。

しかし、一度完了すれば、朝の忙しい時間にヒゲを剃るという全く生産性のない習慣から永遠に解放されます。面倒な処理をしなくて済む要領がいい取り組みなのです。

仕事も同じです。医療事務に就職が決まったら医療事務試験の勉強をする。不動産会社なら不動産鑑定士、土木なら土木施工管理技士……。

最初はお金も時間もかかります。

しかし、身につけてしまえば、ヒゲの永久脱毛のように後はラクです。当たり前な質問を上司にすることもないので「飲み込みが速くて要領がいい人だ」と思われます。

経理部なのに仕訳の基本が理解できず、先輩の指導をただ丸暗記するだけで、何度も質問する要領が悪い人。建築部に所属していながら、半端な勉強で1級建築施工管理技士の試験に毎回落ち続けているため責任のある仕事を任されず、給料も上がらない残念な人。

そんなふうになりたくないですよね。

その仕事をすると決まったら、必要なスキルをいち早く身につける。一気呵成に取り組めば、そのあとはラクです。要領よく対応することができるのです。