飲食店にある「男女共用トイレ」の危険性

6、お洒落なカフェの男女共用トイレ

犯行場所は、東京都内のあちこちにある、お洒落なカフェだった。被告人(40代、IT系の社員、妻と10代の子2人と同居)は出勤前にそのカフェに寄り、1階の「男女共用便所」(以下、トイレ)に1台、2階のトイレに2台、小型カメラを仕掛けた。

退勤後、カフェへ寄り、カメラを回収。マイクロSDカードから盗撮画像をパソコンに移し、若い女性の動画だけを選別。顔や性器周辺部にモザイクをかけるとか一切なしに、何本かまとめてアダルト動画の販売サイト(サーバーはロシア連邦のモスクワ市)にアップロード。それをくり返した。

約1年間に、シリーズものとして少なくとも約40本の動画をアップロード。約1万5000件の購入があり、売り上げは約17万4000アメリカドル。被告人自身の利益は少なくとも約868万円に上った!

レストルームのサイン
写真=iStock.com/davelogan
※写真はイメージです

子供たちは「パパはなんで逮捕されたの?」

なぜ発覚したのか。動画を買った者は、自分で視聴する者だけとは限らない。パクってどこかに転載し、稼ごうとする者もいる。どうもそういうところにアップされた動画を見た「第三者」が、被害女性の1人に知らせた。

女性は「言葉にならないほどの怒りと恥ずかしさ」を感じて警察へ届けた。警察は女性の話と動画解析からカフェを突き止めて張り込み……。

ある朝、逮捕令状を持った警察官が数人、被告人宅へやってきた。逮捕だけで終わらず、家宅捜索が始まった。そのときのことを被告人はこう述べた。

被告人「家宅捜索のとき、子供たちと鉢合わせて、パパはなんで逮捕されたの? ……報道で事実を知ってから、もう会いたくないと……」

保釈後、妻子とは別居した。求刑は懲役3年。判決の日、私はどうしても裁判所へ行けず、親しい傍聴マニア氏に傍聴してもらった。懲役3月、執行猶予4年だったそうだ。