「みんなでいたんで大丈夫だろうと」
公園名が出た。私は帰宅後、ネット検索してみた。バーベキューができる大きな公園で、来園者が1000人を超えることもあるという。犯行日はゴールデンウイークの最中だった。そして、なんとその公園にトイレは1カ所しかなく、よく長蛇の列ができるという。女性の野外放尿の盗撮を性癖とする者らにとって、絶好の公園だったわけだ。
検察官 「見つかったら通報されると、考えなかった理由は?」
被告人 「夢中になってたことと……みんなでいたんで大丈夫だろうと……自分が逮捕されるってこと、想像がついてなかった……」
判決は、3人が懲役1年6月、執行猶予3年。仲間に加わってやや日の浅い1人が懲役1年、執行猶予3年だった。「大丈夫だろう」に加え、被害者の気持ちや苦痛を想像できないことも、多くの犯罪者の特徴といえる。
高校の女子トイレのあちこちにカメラが
5、清掃員が学校の女子トイレで
被告人は50代。顔を隠すような前髪の奧から、ぎょろりと目を動かして傍聴席を見渡した。犯行時は清掃会社に勤務。ある高校へ派遣され、全フロアのトイレ清掃を任されていた。
その清掃作業中、3階の女子トイレで、個室の汚物入れに小型カメラを隠匿設置した。午後0時28分頃、被害者A(17歳)がその個室で用便しようとしてカメラのレンズに気づき、向きを変えた。その後に被告人が戻り、向きを戻した。午後3時30分頃、被害者Aは友人とともにカメラを見に行き、見つけて学校に申告した。
どうも不可解なものを感じるが、検察官も裁判官もスルーした。被害者側に落ち度的なものがあるとき、できるだけ触れないのが普通といえる。
教員らが調べると、合計9台の小型カメラがあちこちのトイレに隠匿設置されていた。学校内は大騒ぎになり、被告人が所在不明となった。学校の防犯(監視)カメラに、学校から出て行く被告人の姿が録画されていた。この事件は追起訴があった。盗撮の被害者は「A」から「J」まで、つまり10人に上った。
被告人には前科があった。6年前、電車内の痴漢で逮捕され、自宅のパソコンやスマホからトイレの盗撮画像が発見された。清掃員として出入りしていた小学校で女子トイレに小型カメラを隠匿設置し女児を盗撮していたのだ。その件で懲役1年8月の実刑判決を受けた。今回の求刑は懲役3年。判決を私は傍聴できなかった。懲役2年を超えただろう。