トラウマは一生続く それでも「生き残ってよかった」
今井さんは4年前にシングルマザーだった女性と結婚し、2人の子どもも含めて4人暮らしになった。子どもたちが楽しそうにしているのを見ると「生き残ってよかったな」と思う。でもステップファーザーならではの悩みもあり、「途中から家族になるのってめちゃくちゃ難しいなと思います」。子どもたちの成育過程がわからないし、最初は「パパ友」もいなかった。ステップファミリーになったことについてSNSで発信すると「実はうちも」と声をかけられたり、相談されたりするようになったという。
イラクで人質になってから20年が過ぎた。
いまでも記者会見で多くのメディアに囲まれると過去の記憶がよみがえる。誰かがバッシングを受けているのを見るとしんどくなる。紛争報道を見るのがつらいし、声を上げることからも引こうとする自分がいる。「トラウマって一生残る。そんなに簡単なものじゃないというのは感じますね」
それでも顔を出して活動を続けるのは「少しでも若者が希望をもてる社会の土台を作れたら」との思いからだ。「子どもたちの不条理な状況を変えたいというのは、16歳ぐらいからずっと思っていたこと。当時の関心から変わらず、同じことをずっとやっているのかなと思っています」