番外編① 馬車馬女優4傑

ここで、ランキングをちょいと外れる。今年のドラマで実によく働いた「皆勤賞」というか「馬車馬賞」を授けたい女優4傑を。

●余貴美子 狂気の人から恍惚の人まで6作品に出演

「虎に翼」では認知症を患った義母役、「Re:リベンジ」(フジ)では継承権争いで敵意を激しくむき出す義理の伯母役、「君が心をくれたから」(フジ)ではヒロインを幼少期から育てて見守った祖母役、「新宿野戦病院」ではヒロインのぶっとんだ母親でジャズシンガー役を演じた。

1話ゲスト出演も2作、余すところなく余貴美子の迫力や包容力が活かされた2024年。

●桜井ユキ 華族の令嬢から脱獄囚まで、観ない日はないほど登板

今年に限った話ではない。桜井ユキは本当によく働く。主演にこだわらず、しれっと脇で爪痕を残す。陰の見せ方がうまいのよね。今年は5作品。「虎に翼」では華族の令嬢役、「ゴールデンカムイ」(WOWOW)では妖艶な女装の脱獄囚(中身は殺人鬼の爺)を演じた。

「95」(テレ東)と「ライオンの隠れ家」(TBS)では記者(ライター)役で、真相追及という使命を背負っていた。聡明で大胆だが、怒りの導火線を内に秘めた役が意外とハマる気がする。

「全日本看護師役最適選手権」優勝

●さとうほなみ 不倫、横恋慕、逆恨み、社内CIAと嫌な役回りコレクター

5作品、出ずっぱり! この数年、恋愛系ドラマで嫌な役回りを進んで引き受けているフシもあり、頼もしい限り。勝気で攻めの態度の女を演じることが多い分、寡黙な役を演じたときのギャップも計算済みならば、戦略成功。

「わたしの宝物」(フジ)ではヒロインの不倫相手に好意を寄せるも邪険にされる役、「無能の鷹」(テレ朝)では社内CIAと呼ばれる情報通だが、自分の社内恋愛はバレバレというわきが甘い役。

個人的には「持久力とリズム感のある女性ドラマーの役者起用」は好物なので、シシド・カフカと並んで、ほなみにも期待している。

●野呂佳代 画面の端で絶大な安心感を与える名脇役に

「全日本看護師役最適選手権」があったら間違いなく優勝。ナース役が板につき、手元の仕草が医療従事者そのものに。

病院が似合いすぎたか、今年は麻酔科医役も担った(「アンメット」関西テレビ・フジ系)。NHK大河「光る君へ」でもちょろっと登場、「舟を編む」(NHK BS)ではヒロインの父親の再婚相手、「クラスメイトの女子、全員好きでした」(読売テレビ・日テレ系)ではプロレス好きな女子・橘さんの現在を演じて、有無を言わせぬ説得力をもたらした。6作品、ノロカヨイヤーだ。

そろそろ戻るが、馬車馬系であり、かつ、ランキングに入ったのはあの人だ。