王子ファイバーが紙製の人工芝を開発

そこで注目されているのが代替プラスチックです。たとえば、カネカは古くから生分解性プラスチックの開発に定評があります。また、国内のマイクロプラスチックの最大の原因となっている人工芝については、紙で代替する技術が進んでおり、やはり王子製紙グループが、紙製の人工芝を開発に取り組んでいます。この代替人工芝については、住友ゴムやミズノも開発を進めるなど、新たな技術的な競争も生んでいます。コンビニのレジ袋も、代わりは紙袋になることが容易に想像できるように、脱プラスチックを考える時に、紙の技術は今後重要になるでしょう。古くから和紙の技術を持つ日本勢は、その意味でも優位性があると期待されます。

ただ、プラスチック規制については、いまさら「使うのをやめろ」と言っても特に発展途上国はプラスチックが使えなくなると経済的なダメージが大きすぎて、実際には規制できないだろうと見る向きもあります。このため、マイクロプラスチック問題を解決に導くには、リサイクル・システムをいかに世界的に実現するか、という論点が注目されています。

日本ではゴミの分別収集は今や当たり前の光景ではないかと思いますが、実は世界広しといえどもこれだけ完璧なリサイクル・システムを、この人口と経済規模の中で実現している国はほとんどありません。経産省や環境省も、今回のINC5での議論を踏まえ、リサイクル・システム全体を海外輸出していく戦略を検討しています。民間企業も積極的にリサイクル・システムの開発に取り組んでおり、例えば花王や日立などは自社の部分だけではなくて広い範囲でのプラ容器の再生に取り組んでいます。こうした先進的なリサイクル・システムを武器に、世界をリードできる存在に日本がなっていく事が期待されます。

【図表2】再評価が期待される日本の技術
作成=筆者
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