「時給30万円」でも仕事が舞い込んでくる

ここで自己紹介をさせてください。

僕は30代で取締役CMO(最高マーケティング責任者)として参画した企業を十数億円で売却し、そのまま経営を継続して3年で売上数百億円規模に成長させました。その後、株式会社Moonshotを創業し、現在に至るまで「企業の10倍成長」のための経営アドバイザーとして活動しています。

具体的にやっていることといえば、1社当たり週1時間の「壁打ち」です。経営者と一対一で向き合い、あれこれ話をして、「なぜうまくいかないのか?」「なぜ予定どおり成長していかないのか?」といった本質的な課題を見つけ出します。そこから一緒に解決策を考えたり、ときには大胆な提案をしたりすることもあります。

僕の時給は30万円です。「話を聞いてアドバイスするだけで30万円⁉」と驚かれたかもしれませんが、対価以上の本質価値を提供しているので、押し売りしているわけでも、騙して売っているわけでもありません(笑)。

こうした自己紹介をすると、「どうせ成功者だから、高く売れるんでしょ?」と思うかもしれません。だけど、僕はエリートでもなければ、才能やセンスに恵まれた人間でもないのです。

ブラック職場から這い上がったきっかけ

僕は母子家庭で育ち、10代の頃は根暗で引っ込み思案でした。写真を撮るときは顔を隠し、話すときはいつも赤面してしまうほど。人と関わることが本当に苦手でした。

通っていた高専では不登校になりました。生きていくのが精一杯で、自分が社会貢献をしたり、仕事で活躍したりしている姿なんて、これっぽっちも描けませんでした。

高卒でエンジニアとして働くようになったあとも、毎日上司から怒られ、泣きながら働く日々。まさに薄利多売の働き方で、月の残業は300時間を超えていました。2年間うつ病も経験し、人生のどん底を見た感じがしました。

ソフトウェア・エンジニア
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです

そんな僕が、厚利少売を始めるきっかけを得たのは37歳のとき。

広告を販売するベンチャー企業のCMOとして、年間売上100億円という高い目標を掲げました。ですが、当時販売していた広告は「単価100万円」。このままだと目標達成するのに1万件売らなければなりません。普通に考えたら達成不可能です。

そこで僕は、単価を下げてたくさん売るのではなく、1000倍(10億円)の新たな広告プランをつくり、少なく売ることを決めました。その戦略は功を奏し、年間売上100億円を達成することができたわけです(詳しいエピソードは本書の120ページ)。