好みの日本酒がわかる「3つのポイント」

4つの分類を参考に日本酒を選ぶのもいいのですが、私のおすすめは、3つのポイントで選ぶことです。1つ目はフルーティーかどうか。2つ目はシンプルな味わいがいいか複雑がいいか。3つ目は微発泡がいいかどうか。微発泡の日本酒は生酒と呼ばれています。

私はフルーティーでシンプルな味わい、微発泡の日本酒が好きです。その場合、純米吟醸生が該当します。反対にフルーティーではなく、複雑な味わいで微発砲ではないものが好みであれば、純米酒が該当します。

【図表2】日本酒の4つの分類

ちなみにフルーティーさには、大まかに、りんご系、バナナ系、メロン系の3種類があります。これは麹によって決まります。ラベルなどでは判断できないので、実際に飲んでみるしかありませんが、米を原料としながら、さまざまなバリエーションができるのは奇跡です。その面白さを知ってしまうと、もう日本酒から離れられなくなってしまいます。

居酒屋に行ったときに、極端に違う日本酒を飲み比べてみて、自分の好みを知るのもいいでしょう。たとえば、精米歩合が高いものと低いもの、純米酒と大吟醸酒を飲み比べてみると、自分の好みが判断しやすくなります。

もっとも希少性が高まる「生酛造り」とは?

加えて、日本酒の年度についても知っておくと、おいしい日本酒を楽しむことができます。日本酒では7月から6月までを1年度としています。このうち第3四半期あたりが一番いい時期です。つまり、1~3月となりますが、この時期に新酒が出てきます。反対に第1四半期(7~9月)は厳しい時期になります。新年度に入る時期ですが、新酒はできていないので、前年度の古い酒を飲む時期です。

最後に今後、もっとも希少性が高まる日本酒について紹介しておきましょう。前述のように全体の30%しかない特定名称酒の人気が高まるのは確かですが、その中でさらにこだわっているのが生酛きもと造りです。これは日本古来の製造法です。

アルコール発酵をさせるときに雑菌が繁殖しないようにするため、酸性度を高めます。酸性度を高めるためには乳酸菌を取り込みます。このとき蔵についている自然界の乳酸菌を取り込みます。できるだけ米につきやすくするために米をドロドロにします。これを山卸やまおろし作業と言います。

乳酸菌が取り込まれると、時間をかけて増殖し酸っぱさの元になります。これを生酛といいます。昔はこの方法が基本でしたが、明治期になると技術が発展してこの山卸し作業を廃止することになりました。これを山廃といいます。