「挨拶だけ」を喜んでしたがる人は少ない
【損】まずはご挨拶だけでも→【得】最新事例をご紹介させてください
リモートワークが浸透し、いつでもどこでも打ち合わせに参加できるようになりました。それでも時間の大切さは変わりません。むしろ家事や育児へシームレスに切り替えられるようになった分、時間を何に使うかの難しさは増しています。
商談や交渉のために時間をもらいたいとき、サクッと感を強調するのは、損が大きすぎます。挨拶だけを喜んでしたがる人は少ないからです。結局、空気を読んでしょうがなく時間をつくってもらうことになってしまう。何より、言われた側が100%聞くだけの受け身スタンスになってしまうのがもったいない。
どういう場にしたいのか、そしてそこで何をプレゼントしようと考えているのか。あなたの意図を見せることで、相手は初めて「本当に必要か、そうじゃないか」というジャッジができます。相手に価値のある情報を提供する姿勢を示すことで、興味を引きやすくなります。その上で時間を取ってくれたのであれば、興味関心のある前向きなスタンスでスタートすることができます。
ただし、とりあえず事例をエサにして、口実だけつくって実際は商談しかしないのはおすすめしません。自分がやられたら、良い時間だったと思えるでしょうか?
「相手のニーズを引き出す」ひと手間が重要
【損】提案のお時間をください→【得】今のプランにご不満はございますか?
相手のニーズを引き出す。このたったひと手間で、交渉事はお互いにとって有意義な時間になります。こちらは的を射た提案が可能になります。一方で相手は、より状況にフィットした話を聞くことができます。何より、提案をする側・される側という関係から一歩進み、問題解決を目的とした会話にスイッチが切り替わります。
例えば、企業がプロジェクト管理ツールの導入を検討している場合に、「現在お使いのプロジェクト管理ツールに何かご不満はございますか?」と尋ねます。すると、相手は具体的な問題点を共有しやすくなります。「コミュニケーションが断片化している」「タスクの進捗が見えづらい」といった具体的な不満が出てくるかもしれません。
これに対して、「弊社の新しいツールには、このような問題を解決できる機能が備わっています」と提案すれば、相手はそのメリットを具体的に理解しやすくなります。時間配分にもメリハリをつけられますから、聞いている側の満足度も高まります。
いきなり説得しにかかるのではなく、相手の背景にある「関心事」を、質問を通じて炙り出すのです。会話はキャッチボールだ、とよく言いますが、相手がどこにグローブを構えているのかを把握しないことには、相手が捕りやすいボールは投げられません。質問は説得や交渉の下ごしらえ。ぜひ積極的に活用していきましょう。