聞かれていないのに、「SFC生」を名乗る人たち

「SFC」出身と書く場合のほとんどは、「総合政策学部」と「環境情報学部」の卒業生を意味している。ウェブサイトにある「SFCスピリッツ」という出身者を紹介するコーナーでも、ほぼ、この2学部卒業生を取り上げている。大学の公式の見方としても、「SFC」と言えば、キャンパスではなく、2つの学部と同義なのだろう。

しかし、「SFC」関係者、いや、もう少し広げても慶應大学に関心がある人のほかに、どれほど、この名前は知られているのだろうか。「SFC」=SUPER FAMICOM、と、昔なつかしの任天堂発売のゲーム機を思い浮かべる人は少数かもしれないが、だとしても、どれだけの人が「SFC」と聞いて、すぐにわかるのだろうか。

こう思うのは、これもX上で見かけた、次のポストを見たからである。

在籍or卒業した大学名を名乗る質問者はほぼSFCの方に限られるのが興味深いなと思っています。いま話題のキラキラ広報の方に限らず、強い愛校心をお持ちであることは素晴らしい半面、それを発露させる場面は選ばないと文字通り場違いになりそうだなと

「法学部」や「経済学部」と同じくらい常識なのか?

本当に「SFC生」を自称する人が多いのか少ないのか。それを確かめるよりも、あくまでも、こうしたイメージが広がっている様子が興味深い。

このポストに書かれている「いま話題のキラキラ広報の方」であろう折田楓氏もまた、Instagramに下のように投稿し、みずからを「慶應義塾大学SFC」出身であると明らかにしている。

慶應義塾大学SFCの先輩 @louis_robuchon さんが
なんとなんと明日、2023年4月28日(金)
#芦屋 の地(JR芦屋駅南口出てすぐ)で初めての洋菓子店
「Pâtisserie La Gare by Louis Robuchon」
をオープンされます

「SFC」は誰もが知っている、いや、知らないはずがない、そんな思い込みや無邪気な前提が、出身者たちの中にあるのではないか。「法学部」や「経済学部」と同じくらい常識だし、それを上回る付加価値があると信じて疑っていないのではないか。

ここで私は、彼らの、そうした純真さを批判したいわけではない。羨ましいとさえ思うからである。