人気者が商品を紹介するだけでは効果が出ない
インフルエンサーが話題になりだした頃は「ネットの人気者が商品を販売する」というイメージが強くありました。しかしインフルエンサーになる経緯はさまざまで、例えばショップの店員さんから独立した人たちがいます。
初めはリアル店舗で接客するうちにSNSのアカウントを交換したお客さんが増え、熱心なファンがついてくるようなケースです。ファンの趣味嗜好をよく知っているので、おすすめする商品が高評価を得て、さらにファンが増えるという好循環になるのです。
C Channelの社員から人気インフルエンサーになった人も複数います。社員として活動するうちにSNSで人気が出て独立していくわけです。入社の時点から、志望理由として「インフルエンサーになって商品開発したいから」と話す人もいます。社員が辞めていくのはちょっと寂しいですが、インフルエンサーで成功する人が増えるのはうれしいことなので私も応援しています。
インフルエンサーも時代とともに変化し、商品の販売促進というマーケティング領域に入ると、人気者が商品を紹介するだけでは、期待するほど効果が出なくなっています。有名なタレントさんが本当にいつも愛用している商品を紹介するのはいいのですが、「本当に自分で使っているんだろうか」と疑われるケースが一時増えたからです。2010年代に入ると、芸能人や人気ブロガーによるステマ問題がたびたび起こり、2023年10月からのステマ規制導入につながりました。
インフルエンサーのクラス分け
インフルエンサーは、フォロワー数や登録者数によってクラス分けされることがあります。フォロワー数が50万人以上は「メガインフルエンサー」、10万~50万人は「ミドルインフルエンサー」、1万~10万人は「マイクロインフルエンサー」、数千~1万人は「ナノインフルエンサー」などの分類です。
フォロワー数のクラスによって、企業から受け取る広告宣伝料の単価が異なることもあります。
しかしマーケティングから見た場合、販促効果はフォロワー数だけで判断できません。“ヒト消費”“推し文化”では、「本当にその商品を応援しているか」「商品や業界について豊富な知識をもっているか」などが重視されるのです。頼まれたから宣伝するといった姿勢は、すぐに見抜かれます。発言にウソがない、本当のことを伝えている、という“情報のホンモノ志向”が強まっているのです。
情報にウソがあるとの評判がたてば、どんどんファンが減ってしまい、結局は影響力を失うことになります。
例えばコスメのインフルエンサーで、スキンケア商品は自分が使っていないから紹介しないという人がいます。無責任に紹介して、フォロワーに何かあったら大変なことになると自覚しているからです。食品のインフルエンサーでも、ただ食べて美味しいだけではなく、健康に害はないかなどをしっかり調べて紹介する人は少なくありません。