ガムシロップなどで親しみのある容器を採用

鍋に新しい価値をもたらす「イノベーション鍋」となるには、どんな新しい価値を作ればいいのか。それを探るために実施したユーザー調査から出てきたのが、「個食」というキーワードと「1個で1人前」というコンセプトだった。ライフスタイルの多様化が進み、一世帯あたりの人数が減り、家族が同じ時間に揃って食事をする機会も減っている。その結果、1人暮らしや夫婦2人でも、あるいは家族世帯の中で「夜遅くに帰ってきた父の夜食用」「母の自宅ランチ用」など、「もっと自由で手軽に鍋を楽しみたい」というニーズが高まっていた。

「1個で1人前」の個食できる鍋つゆ開発にあたって、これまでにないインパクトを求めて選んだのが、ポーション型容器だった。ガムシロップなどの容器として親しみがあって使いやすく、鍋の素としては斬新さがあり、売り場や広告で大きな注目を集められると考えたためだ。

水分を飛ばして液を濃縮する方法では風味が損なわれてしまうため、自社独自の高濃度ブレンド技術を活用した。余計な水分を加えずに原料の量、配合、順番、加熱方法などを調整し、20mlの小さなポーション容器に充填するという高度で繊細な技術開発の末、「プチッと鍋」は商品化された。鍋つゆ市場では年間5億円で大ヒットと考えられているところ、「プチッと鍋」は初年度に9億円、2年目には18億円の規格外のヒットを記録し、その後も毎年売上を伸ばし続け、個食鍋市場を開拓していくことに成功した(※4)